投与方法

経口投与

内服製品はハードカプセルとなっており、乳酸菌は胃酸から守られます。
内服後、乳酸菌が腸管内で増殖し、排泄後にデリケートゾーンの表皮細菌叢を介して、膣内に移行します。そのため、膣内に移行するまでには一定の時間が必要で、急性期の対応には適しません。内服タイプは、1ヶ月単位の使用が基本です。胃酸の影響を避けるには、胃内pHが最も高い、食事中または直後に服用します。

内服した乳酸菌が、どのようにして膣内、子宮内に到達するのか?:これは最もよく聞かれる質問です。回答のヒントは、細菌性膣炎から得られます。細菌性膣炎の多くの起因菌は腸内細菌(大腸菌、クレブシエラなど)で、それらの細菌は排泄後に、デリケートゾーンを介して、膣内に移動して、in situ感染を引き起こします。事実、腸内細菌の遺伝子と膣内臨床分離菌の遺伝子が同一であることが、遺伝子解析より示されています。このことから、膣粘膜への接着性の高い女性用乳酸菌の内服製剤が開発されました。内服後、(表皮細菌叢を介して)乳酸菌は膣内に移行し、膣内/子宮内の乳酸菌環境を整えたり、細菌性膣炎の治療や予防に効果を発揮することが期待されます。

膣内投与

膣内投与製剤はソフトカプセルで、膣内投与後、すぐに乳酸菌が放出され、膣内に広がるように設計されています。そのため、膣内に挿入後、10分以内にカプセルの崩壊が始まります。指で押すように挿入しますが、それが難しい女性はアプリケーターの使用が推奨されます。こちらの製剤は、短期間での効果発現が期待されます(数日以内)。なお、内服製剤は膣内投与には不適です。内服剤のカプセルはハードカプセルで、膣内環境では溶けにくい性質があります。

その他の投与経路

トランスファーカテーテル先端に乳酸菌(Lactobacillus crispatus)を塗布することで、着床率及び生児出生率が高まったとの報告があります(Semin Reprod Med. 2014 Jan; 32(1): 35–42)。ただし、この方法は、乳酸菌の管理の難しさ、手技者のテクニックに大きく依存します。そのため、標準化は容易ではなく、現時点では実験的な手法と考えられます。